ありがとうございます!

残念なこと、このブログを長い間は更新していないね。なのに、この数週間、アンカテのessaさんというブロガーのおかげで、新しい読者が私のブログを読んだり、スターをつけたり、それから自分たちのブログの中で私の僅かな3つのエントリーについて素敵な文章を書いて、ビックリ。というか、すごい嬉しかったです。

世間と空気

まずは、数週間前に、私はta26さんというブロガーの「どうしてここまで『ゲゲゲの鬼太郎』は人気があるんだろう」というエントリーを翻訳して、グローバル・ボイスの「Japan: The Secret of Mizuki Shigeru」という記事で紹介した。元々ta26のエントリーを読んだのは、essaさんが教えてくれたからだ。かなり面白いし、よく書けたエントリーなので、日本語の読めない人に紹介したかった。

そして、ta26さんが私の翻訳を見つけて、essaさんの記事を通じて「塩」を読んで、こう書いた:

また、サルツバーグさんの日本語のブログ記事を拝見して*1、カナダの人が、日本人にとってもかなり難しい概念である、『空気』や『世間』に注目されていることに驚いた。アンカテのessaさんが書かれているように、サルツバーグさんが、『ここで言及している次の記事は、自分としてはけっこう面白い記事になったという自信があったけど、予想した程は反響がなくて少しガッカリした』とおっしゃっているのは、まあ無理もあるまいと感じる。日本人相手であっても、この話題に興味を持って応じてくれる人はそう多くはないのではないか。大変奥深いテーマではあるのだが、『言語化』することは必ずしも簡単ではなく、意識的に興味を持って探求する人は案外少ない。

まずは、感謝したいね。本当に嬉しい。「カナダの人が、日本人にとってもかなり難しい概念である、『空気』や『世間』に注目されていることに驚いた。」という文を読んで、ブログを書くやる気がわいた。ありがとうございます!

でも実は正直にいうとね、「世間」という言葉の意味は、私はよく分からない。なんとなく「社会」との違いは分かるけど、だからと言って「世間」という概念自体は分かるとは言えない。確かに日本では大切な言葉だ、ということに去年ぐらいにはじめて気がついた。そのきっかけは、「空気と世間」というエントリーにも書いたけど、柳父章氏の「翻訳語成立事情」という本の最初の4章を読んだからだ。柳父氏は「社会」と「世間」の違いについて詳しく書いて、その大切さを強調したから、私もあの大切さをよく分かった。でも「世間」の本当の意味はね、まだ把握できないと思う。

だけど、ta26さんがエントリーを読んで、「世間」みたいな「英語には対応する概念がない日本語の言葉」の重要性を実感した。それから、エントリーの中で二人の山本七平氏と阿部謹也氏という「空気」と「世間」について書いた作家も紹介した。ウィキペディアによると山本七平氏が「空気」という題名の本を書いたらしい。(友達はあの本を見せてくれた気がするけど。)それから、アマゾンによると阿部謹也氏が「空気とはなにか」と言う本を書いた。 1995に出版したから、柳父章氏の「翻訳語成立事情」より最近の本。両方も面白そうだ、本当に。とくに後者の「空気とはなにか」の本は、本当に読みたい。

マッピング問題

それから、もう一人のモジックスというブロガーも、私のブログを読んで、去年の12「外国語とは」というエントリを取り上げて紹介した。「西洋人にとって外国語の習得は「マッピング問題」にすぎない」と言うエントリーで、こう書いた:

私の知る限り、外国人が日本に数年住んだ程度では、日常生活で使う漢字が読めるくらいで上出来であって、これほど流暢に日本語で「書ける」というのは、ちょっと信じられない。このサルツバーグさんのブログは、日本人の普通のブロガーと比べてもまったく遜色がないと思う(むしろ語彙が多いくらいかもしれない)。


モジックスさん、ありがとうございます!実は書くことはけっこう時間がかかるけどね。文や言葉の使い方は確認するために、よくグーグルを使う。「この文は変かなー」という感じがするときは、グーグルに記入すると、すぐ分かる。役に立つけど、だいぶ時間がかかる。

次に、モジックスさんが:

そして、ここに書かれている外国語についての知見も面白い。西洋人にとっては、外国語の習得は「マッピング問題」にすぎない、つまり単語と単語の「対応」(マッピング)を理解することにすぎないという。英語やフランス語、ドイツ語などを少しでも勉強すれば、そのことはおよそ想像はつくけれども、これだけはっきり書かれていると、やはり納得感がある。

実は時間があったらこの「マッピング問題」についていっぱい書けると思うけどね。今は翻訳をしているけど、カナダの大学にいたころは数学と物理を勉強してて、「人間の言葉」と「数学の記号」との違いについては昔から興味を持ってきた。(「人間の言葉」のほうが面白いと私は思うけどね。)今度このテーマについてもう少し書きたいな。

日本のブログ界の政治ブーム

でも実は、モジックスさんのブログは前も読んだことはあった。「日本のブログ界にも政治ブームか / ホリエモン小泉純一郎 / 政治広報戦略も「マス」から「バズ」へ」というエントリーを数ヶ月前に読んで、次の段落はけっこう面白いと思う:

おとといの郵政民営化法案否決・衆院解散を受けて、ブログでもこの話題が増えてきた。日本のブロガーがここまで政治を話題にしているのは、初めて見る気がする。


この感じは、ライブドア・フジ騒動のときの盛り上がりと似ていると思う。あのときは、ビジネスや経済に強い人やまさに本職の人が、マスメディアよりも早く、充実した解説をどんどん書いて、多くの人がそれを熱心に読んだ。


今回の解散総選挙でも、それと似たような盛り上がりが起きつつあると感じる。これまでであれば、テレビや新聞などのマスコミが主な情報源だったが、今回はそこにブログも有力な情報源として加わってきた。


解散総選挙へ至る経緯もなかなか劇的なものがあったし、ライブドア騒動でホリエモンがいたように、今回も小泉純一郎という役者がいる。保守層に反旗をひるがえし、反感を買う強気発言もするが、筋は通っており、ドン・キホーテ的に突き進むというところで、この2人は案外似ている気もする。

ボールド体の文は、私がこの間に書いた記事の中で翻訳して引用した部分だ。記事は「Reading the air, writing the news」というタイトルで、こんな感じ:

At a recent symposium on the future of journalism, prominent technology journalist Sasaki Toshinao identified two developments in 2005 that marked this difference.


The first, Livedoor CEO Horie Takafumi's attempt to take over NBS, radio affiliate of Japan's largest media conglomerate, met with hostility from the mainstream media. "The mass media were hammering on about Livedoor," he explained, "but on the net, there wasn't much bashing."


Prime Minister Koizumi's snap election, called shortly thereafter, produced a similar divide in opinion. Sasaki argued: "At that time, net users realized that they were in opposition with the mass media."


Japanese web visionary Umeda Mochio, in his bestselling "Theory of Web Evolution" (Web Shinkaron), makes a similar observation. "After a few hours," he writes, describing his experience scanning Japanese blogs before the election, "I was able to get a rough sense of it. And I was surprised. There seemed to be overwhelming support for Koizumi."


The observation was echoed by many in cyberspace. Open-source developer Sakurai Michiharu, writing as blogger mojix, described a "political boom" in Japanese blogs. "Up until now," he wrote, "mass media like television and newspapers were the main source of information. This time, though, blogs have entered as an influential source as well."

この文章にある「recent symposium」というのは11月に毎日新聞が主催した「ネット社会の情報と言論」というシンポジウムだった。興味があれば、藤代裕之氏の gatonewsというブログでシンポジウムのテープお越しがアップされたから、読んで見てください。(上の記事は「Foreign Journalists Club of Japan(FCCJ)」のジャーナリズム・コンテストに提出したものだけど、残念なことに、優勝は逃した。)

まぁ、このテーマについても、いっぱい書きたいけど、このエントリーはもう長くなっちゃって。今度に続けるね。来週はヨーロッパに行って、ハンガリーブダペストにある「Global Voices Summit」でパネルディスカッションでプレゼンテーションをする予定だから、準備しなくちゃ。

それでは皆さん、あらためて、ありがとうございます。